【No.12】限定小説

「七瀬久しぶり〜!」

「久しぶり!桃」

「高校卒業以来じゃない?うちら会うの」

「そーだよね、お互い忙しかったしねぇ」

「七瀬今何してんの?」

「ふふ、実はね、ジャーン」

「えー!結婚したの!?」

「うん、ほら修学旅行の時に一目惚れした人」

「えっ、再会できたの…?」

「そーなの、それで看護師になって、
最初はほんと嫌われてたんだけど、頑張ったんだ」

「へぇー、凄いじゃん!七瀬!尊敬するわ」

「ありがとぉー♪」

鹿児島から最近東京に上京してきた。高校の頃に仲の良かった七瀬に会って、東京の紹介をしてもらう事になった。東京って久しぶり、高校の修学旅行以来だった。小さい頃に神奈川に住んでいたけれど、あまり東京へは行ったことがなかったのだ。


再会


「よかったら今日
私の家でご飯食べてかない?」

「いやー、旦那さんに悪いよ」

「いーのいーの、今日仕事忙しくて
帰って来れないみたいでね、
夕食2人分の食材買っちゃったんだよね。」

「じゃあ遠慮なく〜」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「へぇー、すっごくいいとこ住んでんじゃん!」

「元々は隣の部屋が私の家でね〜」

「あ…、これが旦那さん…?」

「うん、そーだよー」

これって………、浬さん……?でも確か、浬さんって、彼女がいたんじゃ…。いや、何年も前の事だし、そりゃあ別れる事もあるか。でもまさか、友達の旦那さんになるなんて…。好きだったのにな…。

「ただいま、」

「あれ?浬さん今日
帰れなかったんじゃないんですか?」

「ココ最近連チャンだったから
来生に代わってもらった」

「そうだったんですね」

「浬さん…ですよね…?」

「あれ、なんで桃がここに…」

「え?2人知り合い…?」

「私が幼い頃、神奈川住んでたんだけど、
そこのお隣さんで……」

「そうだったんだ!こんな偶然あるんだね!
あのね、浬さん、桃高校の同級生なんですよ!」

「そうか、じゃあ夕飯は食ってくるよ」

「えっ、いいですよ、
今から食材買いに行きますし。」

「いやいい、たまには七瀬も友達と過ごしたいだろ?」

「……ありがとうございます、浬さん♪」

やっぱり、優しい……。なんだろ、胸が凄く苦しい…。小さい頃に好きだった人だし、こんな感情溢れ出すはずないのに。彼はもう、友人の旦那さんなんだから…。でも…、好き…。

「ごめんなさい、私急用思い出しちゃった!」

「え?そうなの?」

「うん、だから2人で食べなよ、
私は帰るから。」

「そっか、、
じゃあまた今度一緒に食べようね!」

「うん、浬さんも、
久々に会えてとても嬉しかったです…。
七瀬を…、幸せにしてあげてください。
言わなくても、すると思いますけど。」

「あぁ、もちろん。」

「それじゃ、またね、七瀬」

「うん♪」

2人の邪魔はしちゃいけない、そっか、修学旅行の時に一目惚れしたのって、浬さんの事だったのか。私も、修学旅行の時に、浬さんに出会えてたらな…。ううん、出会えてても、七瀬みたいに、努力はきっと、できなかっただろう。

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